| 合計 | ４冊 |
【血族】 宮崎 学
中国の華僑たちの戦中戦後。日本で語られる第二次世界大戦はアメリカとの戦いばかりですが、
マレー半島の方でもいろいろあったのですね。もっとこれらの話がクローズアップされてもいいと思
います。
宮崎さんと言うと、キツネ目の男、電脳突破党のイメージしか無かったのですが、こういう普通の
歴史小説みたいのを書くんですね。自分で「私の本業は作家」と言ってましたが、おみそれしました
(^^; 今度は突破者読まないとね。
（★★★☆）
【ハリウッド・ビジネス】 ミドリ・モール
ハリウッドで映画人相手の弁護士を勤める日本人女弁護士が著者です。この本が出版されたの
は昨年末なのですが、その直前までの最新エピソードがたくさん載っていておもしろい。
普通に映画みてる我々一般人にはここ１０年ぐらいで映画業界に変化があったのなんか全然わ
からないけど、いろいろあるものなのです。DVDが普及しはじめ、ＣＧが映画に多用され、俳優のギ
ャラは高騰し、制作費もうなぎのぼり。ハリウッドでつくると金がかかるので、カナダやイギリスで映
画をつくっていることが多いのだとか。あのハリーポッタもマトリックスも経費削減のためイギリスで
つくってるんだって！
昔は映画は公開して興行収益だけで終わりだったのが、キャラクターグッズが出て、DVDで出さ
れ、有料テレビで放映され、無料テレビで放映される。投資してから収益が上がってくるまで何年も
かかる。当たってもはずれても大きいハイリスク・ハイリターンの世界なのです。
最近、オープンニングで複数の製作会社のロゴが出てくることがありますが、あれはリスクヘッジ
（複数の製作会社で出資する）の手法だったのだそうです。またスタジオによって性格がいろいろあ
って、俳優のつくりたい映画を安いギャラでつくるところがあったり、斬新な脚本を安い制作費でつく
るのを専門にしてるところがあったりするのだそうだ。今まで漫然と見ていたオープニングのロゴで
すがそういうの知るとおもしろいですね。
とにかくもっと映画業界が発展することを願います。日本人はちょっと映画を見る時間が少なすぎ
ると私は思う。
（★★★★）
2002/02/20 wrote
【IBMとホロコースト】 エドウィン・ブラック
IBMが第二次対戦のときのナチスのホロコーストに手をかしていた、という衝撃的な事実を追求し
ていくをドキュメント。
そういう企業も多いでしょうが、IBMも第二次対戦とともに発展した企業だったのです。当時はコン
ピュータという機器は無かったわけですが、その前身とも言えるパンチカードシステムというものが
ありました。当時はパンチカードと言えばIBMのホレリスパンチカードというぐらいの独占的な製品だ
ったようです。これを使って人口調査であるとか、鉄道のダイヤの計算をしていたのです。IBMはアメ
リカの企業ですが、その大きな顧客がナチスドイツ。その貢献を認められ、後には返還するのです
が、IBMの創始者とも言えるワトソンはヒトラーから勲章をもらっていたという事実もあります。
かなりの大作です。IBMがどうホロコーストに関わっていたのか？その１ネタでひっぱります。また
IBMという企業が成長していく様子、コンピュータの創世記みたいなものも見えて最初の1/3ぐらい
は興味深く読めるのですが、以降はなげーです(^^;;
IBMがホロコーストに関わっていたという話が出たのはこれがはじめてのスクープだったそうで、ア
メリカ・ヨーロッパでこの書物は話題になったそうです。日本ではあまり話題になってませんが、”ホ
ロコースト”に対する意識の違いでしょうね。
私はコンピュータ業界にいるため、ＩＢＭさんとのお付き合いも多いのすが、ＩＢＭを見る目が変わり
ましたね(^^; ところでＩＢＭとは International Business Machine の略だったのです。いや〜知らん
かったね。しかし、ＩＢＭとは何の略だろうと考えたこともなかったのも事実。これも盲点(^^;
（★★★）
【神様わたしやってない】 無実のゴビンダさんを支える会 編
いわゆる東電ＯＬ殺人事件の容疑者、ゴビンダ・マイナリさんは現在東京拘置所で最高裁の判決
を待っています。この裁判、一審は無罪となったのですが、高裁で逆転有罪の無期懲役となってし
まいました。冤罪の可能性が高い事件と言われています。その事件を詳しく解説しているのがこの
ブックレットです。
私も「無実のゴビンダさんを支える会」に入っています。佐野さんのルポ「東電ＯＬ殺人事件」も読
みました。というわけで、ここに載ってるネタはほとんど知っています(^^; まあ、私自身はあまり読む
必要のない本です。この事件について知らない人に読んでほしいですね。
この会に入ったおかげで、裁判というものの仕組みがだんだんわかってきましたが、最高裁の判
決というのはいったいいつ出るかわからないのだそうです。弁護団の神山さんは5年後ぐらいだろ
う、と言ってました。え！5年後(^^; この事件は逮捕から5年たちますが、控訴してからはまだ1年ち
ょっとです。ということはあと4年も待つの....。そして一度有罪判決が出た事件がひっくり返るのは難
しいのだそうです。なんと、かわいそうな。こんなに時間がたてば世間も忘れてしまいますよね。と
いうわけで忘れ去られないように無実のゴビンダさんを支える会はがんばっているのです。
この事件をきっかけとして、冤罪というものに私は興味を持ちました。有名な冤罪未遂事件として
は松本サリン事件がありますね。あれは真犯人が派手に登場したおかげで未遂に終わりました。
ロス疑惑も冤罪事件でしょう。これらはおそらく氷山の一角です。彼らは声を上げるエネルギーがあ
ったので表に出たのですが、埋もれている冤罪事件はきっとたくさんあることでしょう。冤罪はあなた
のすぐそばにあるのです(^^;
（★★★）
2002/03/24 wrote