イラク攻撃開戦により異例の厳戒態勢で行われた映画の祭典、アカデミー賞授賞式。
その受賞作品をみてみると、反戦の意志が出ていることが読み取れる。
まずは、マイケル・ムーアの「ボーリング・フォー・コロンバイン」彼はブッシュ
政権批判の論客として有名で、賞をとって壇上に上がればブッシュ批判をするのは火
を見るより明らかだ。もちろん作品が優秀なことも間違いないが、彼を壇上にのぼら
せた意味を考えてみたい。
また、イラク攻撃に抗議して式典を欠席した（結局は出席したが受賞が有力視されるなかで反戦の意志を示したことは評価できる）、ニコール・キッドマンには順当に
”主演女優賞”が贈られた。役者にとって最も栄誉あるこの賞を壇上で受けなかっ
た役者ははじめてではなかろうか？
そして、下馬評では有力視されていなかったが、今回のノミネート作品の中での
唯一の反戦映画と言っても良い「戦場のピアニスト」が”監督賞”、”主演男優賞”、
”脚色賞”など主要部門を受賞した。主演男優賞のエイドリアン・ブロディはこの作
品に出るまでほぼ無名の俳優で、彼のような俳優が受賞するのは異例と言ってよい。
”戦場のピアニスト”はいわゆる大手スタジオが繰り広げていた賞とり合戦の埒外
にいた作品だ。もちろん賞をとるにふさわしい作品ではあるのだが、例年ではお金と
宣伝の力が賞を左右するのが最近のアカデミー賞だった。
つまりハリウッドの意志は”反戦”であると示されたと言ってよいだろう。ハリウ
ッドはまだ大丈夫だ。
アメリカ人の70%が戦争を支持しているなんていう世論調査は信じられるのだろうか？
○アカデミー賞受賞作品
http://www.oscar.com/oscarnight/winners.html
14 MAR 2003 wrote